沖縄には模合という文化があります。
もあい、モアイではなく漢字で模合と書きます。
模合とは、沖縄の経済的互助活動・組織であり、決まったメンバーが定期的に金銭を出し合い 、
その総額を毎回メンバーの1人 (か複数人)に渡し、全員が順番に受領するというものです。
模合の歴史を辿ると、もともとは戦後の日本における相互銀行のことを示します。

その後、普通銀行へと変換するなど金融機関の発達とともに模合のような活動は
日本のほとんどの地域で廃れてしまったのです。

しかし、沖縄の歴史的背景から、沖縄人の相互扶助、助け合いの精神、仲間との信頼関係を保つという特性によって、模合の形は金融模合(金融が主目的)から親睦模合(親睦が主目的)へと変化しました。
すなわち、現在沖縄で最も盛んなのは親陸模合です。
ただの飲み会と言われることの多い親睦模合は、どのような仕組みなのでしょうか?
この記事では、移住者やワーケーションでも参入できる親睦模合移住者が実際に模合へ参加した感想についてまとめました。
親睦模合は大きく分けると2種類、移住者やワーケーションでの参加について
親睦模合は大きく分けると同級生模合異業種模合という2種類があります。
ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
ありふれた馴れ合いの同級生模合
若者から年配者まで、幅広くみられる、同級生で集まる模合です。
卒業したら会えなくなるので、卒業しても自動的に模合が始まるという話もありますが、
実際には、卒業直後というより大学進学者が就職する頃や、20代半ばで収入が安定した頃から始まることが多いそうです。
同級といっても、1学年、あるいは1クラス一同に介するわけではなく、同級生のうち気の合った仲良しグループ10数人で作られることが多く、男女混合の場合も男女別に作られることもあります。
つまり、慣れ親しんで愛着のあるメンバーの交流であり、ありふれたなれ合いの楽しさを求める模合と言えるでしょう。
また、それぞれの家族が一緒に参加し、子供が生まれることにより参加人数が増していくのも特徴です。
そのため、内地から沖縄県民のところに嫁(婿)に行き移住する場合、家族の模合に参加することは珍しくなく、そこで和を広げたり情報交換をすることができるのです。
筆者は実際にこのパターンで夫の同級生模合に参加しました。
後ほど、その体験談と感想をお伝えします。
おもしろくて刺激になる異業種模合
一方、那覇周辺地域の模合で重要なのが、友人・知人型の模合である異業種模合です。
琉球舞踊の生徒などの趣味を同じくするグループ、ボランティアグループ、PTAの元役員グループ、少年野球の保護者グループなど多様です。
血縁でも地縁でもなく(一部含まれることはある)、那覇での出会いが重なったところに、このような模合が形成されます。
「せっかくの縁だから、模合にしよう」といって、その人間関係をつなぐのです。
この模合の型には、那覇という都市の特徴がよく現れており、なかでも、さまざまな業界の人達が集まる異業種模合は、ありふれた同級生模合とは違うものとして対象的に扱われます。
ただじ、同級生模合も卒業後はさまざまな仕事についているため、実質的には異業種模合と言えますね。
しかし、そこには違いがあって、異業種模合の参加者は、異業者模合がいかに同級生模合と異なるおもしろい刺激になるものであるかどうかを強調します。
それは、現在の仕事が異なるというだけでなく、育った環境や歩んできたキャリアが異なるなど、メンバーの多様な経験を含めてのことです。

ここで、異業種模合の一例(Aの会:計13名)をご紹介します。
44歳男性が7名、この同級生を核としているものの、20代・30代のメンバーも含まれます。
また、半数が企業経営者やフリーランスなど独立した自営業者であり、若手経営者の会でもあります。
Aの会では、メンバー外のゲストが集会に参加することが頻繁にあり、それぞれのメンバーが仕事関係者でおもしろいと思う人を、メンバーに引き合わせるために連れてきます。
そういうゲストがいる時は、集会はいつも以上に盛り上がり、繰り返しゲストとして正式なメンバーとなるケースもあるそうです。

まとめると、移住やワーケーションにおいて、趣味活動をする中で友人・知人型グループの模合へ参加し、和を広げることができると言えます。
また、仕事の面においては、コワーキングスペースなどを利用することで仕事の繋がりができ、そこから模合へ参加し、さらにメンバーになるという流れもあるようですね。
沖縄移住者が模合に参加して思ったこと
筆者は結婚を機に沖縄へ移住し、右も左もわからない中、夫の同級生模合に参加しました。
夫の高校時代の同級生10人とその家族で、合計31人の大人数。
コロナ渦ということもあり、大きな公園で各自食事を持ち寄り開催しました。
メンバーの職業はさまざまで、夫や同級生達は、近況報告や昔話、購入予定のマンションの相談などの話題が多い様子でした。
筆者は、メンバーの奥さん達とお話をすることが多く、オススメのスーパーや就職についての情報、沖縄県民にしか知り得ない情報など沢山ゲットすることができたのがメリットだと思いました。
また、仲良くなった奥さんの別の模合(趣味を通した友人・知人型の模合)に誘って頂いたので、さらなる模合への繋がりを得たこともメリットでした。
1番メリットだと思った点は、内地からの移住者と交流できたことです。
奥さんの中には、筆者と同じ境遇である内地から移住した人もいました。
移住したてで何もわからず、相談できる友達もいない不安を共有できて助けてくれる人の存在は、沖縄移住者にとってとても大切だと思います。

沖縄の親睦模合について、ご紹介致しました。
親睦模合は、横のつながりを大切にする沖縄県民の文化だと言えます。
沖縄移住やワーケーションで、模合の仲間と繋がることができれば、生活や仕事における様々な面に役立つこと間違いなしです。